「パフューム ある人殺しの物語」
(2006年 ドイツ/フランス/スペイン 147分)(あらすじ)
18世紀のパリ、悪臭のたちこめる魚市場で産み落とされたジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。驚異的な嗅覚を持つがゆえに、奇怪な青年として周囲に疎まれている彼は、ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり、誤って殺してしまう。その後、彼は少女の香りを求めて調香師になり、香水作りに没頭するが……。
(レビュー)
この作品は、1985年に全世界で500万部以上の売り上げを記録したパトリック・ジュースキントの「香水 ある人殺しの物語」を映像化した作品であり、なんとスピルバーグやスコセッシなどの巨匠たちによって映画化の争奪戦が行われ、最終的には地元ドイツのプロデューサー、ベルント・アイヒンガーによって映画化されることが決まったというほど、作られる前から話題になった作品らしい。
まず舞台はパリであるが、全編英語である。製作国を見てもドイツ、フランス、スペインとなってるのになんでやねん?と突っ込みを入れたくなるものの、英語がほとんど世界の共通語となっていることを考えればいたしかたないところだろうか。ラストに向かうほど官能的な物語になっていくだけに、オイラはフランス語で行ったほうが良かったように感じた。まぁ、このあたりは慣れてしまえば気にならないので対した問題ではないかもしれない。
さてこの作品、最も悪臭に満ち溢れていたと言われる18世紀のパリが再現され、南フランスのグラースのラベンダー畑など、映像の美しさは必見である。また音楽も世界最高峰と言われるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によって重厚感も抜群であり、そしてなんと言っても素晴らしいところは、映像化不可能であろう匂いというメインテーマを独特のカメラワークによって表現したところだろうか。見えない物をどうやって表現するか注目であったがこの部分を含めて映画そのものクオリティは完璧でトム・テイクヴァ監督お見事と言いたい。
しかしながらこの物語、はっきりと見る人間よっては評価は分かれるだろう。オイラはズバリ否定派である。映像も音楽も雰囲気もすばらしい映画だと思う。だけど全く主人公に感情移入できない。初めて街に行った時に出会った忘れられない匂いを追求していくという探究心は理解できるものの、2人目からの殺人はもう意味不明である。次から次へ犠牲者を出していくのに身勝手も身勝手、フェチズムを通りこしてコイツは人としてどうなんだろう。これが日本の裁判制度なら加害者に責任能力が問えず無罪放免か?てそこまで考えてしまった。結局はファンタジックな官能作品といったところなんだけど、あの広場でのシーンやラストに至っては絶賛派の気持ちは分かるけが、正直笑ってしまった。やはりこの作品の評価の分かれ目は主人公をどこまで許せるかどうかだろう。
ハリポタのスネイプ先生で有名なアラン・リックマンの"OH MY SON"(詳しくは忘れた)というシーンは、オイラ的にはなんか妙なツボに入って大爆笑だった。 本当に大作で悪い作品だとも思わないんだけど、こんななに笑ってしまうのは見ている途中から"あるフェチ男の物語"てサブタイトルが頭に浮かんだせいかもしれない。うーん不思議な作品である。(2007年9月29日)
(嫁2行レビュー)
賛否両論に分かれるようですが・・・私はおもしろかったです〜♪
否定派の意見も分かるのですがファンタジーと割り切って特殊な世界観を楽しむべし(*`д´)b
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