「ミッション」
(1986年 イギリス 126分)第59回(1986年)アカデミー賞撮影賞
第39回(1986年)カンヌ国際映画祭パルムドール
第39回(1986年)カンヌ国際映画祭パルムドール
(あらすじ)
1750年、ローマ法王の元、キリスト教の教えを世界全土に広めるために設立されたイエズス会の神父ガブリエル(アイアンズ)は、南米奥地のパラナ川上流、イグアスの滝にやってくる。彼は滝の上の土地に住むインディオ達に神の教えを伝道するため、そそり立つ滝を這い上がり、決死の覚悟の末、深い信頼を得る……。(レビュー)
まずタイトルのミッション(mission)とは、ラテン語で「派遣する」を意味する missum に由来し、「派遣されたもの」という意味の言葉であり、キリスト教用語で「キリストの教えをまだ知らない人々へ広めること」を意味する言葉である。(Wikipediaによる) つまりイエズス会の活動を中心に物語が進むこともあり、日本語に約すとタイトルは"宣教"といった所だろうか。したがってストーリーの中にはキリスト教の精神と地道な活動や贖罪などがテーマに描かれており、最後に戦闘シーンなどもあり一応の盛り上がりのような物はあるものの、テーマがテーマだけに最後までなかなかヘビーな印象を受けた作品だった。「プラトーン」や「シンレッドライン」でも同様な重たさを感じたが、若い人や無宗教のオイラのような人間にとってはとてつもなく長く感じる映画だろう。ところでストーリーであるが、なんか「ラストサムライ」によく似ている。元々相手サイドにいた人間が味方側についたり、勝てるはずのない強大な相手にあえて自らのプライド(ここでは信仰)をかけて戦う。またその相手側の人間も時代や組織としての事情などもあり、イヤイヤながら戦わなければいけない。そして思っていた主人公もいつの間にか、別の人間に入れ替わってたり「ラストサムライ」側もパクッた訳ではないだろうがなかなか似ている点を発見することが出来た。鎖国文化からの脱却とキリスト教の宣教活動というテーマの違いはあれ、ラストサムライの見易さ(軽さ)を考えるといかに宗教というテーマがいかに重いかということがよく分かる。さて主人公のロバート・デ・ニーロ、さすがである。最近の定番である?男泣きもすばらしいし、テーマに沿っていてなかなかピッタリなキャスティングだと思う。のちのアカデミー賞俳優ジェレミー・アイアンズを始めとした宣教師役の人たちも落ち着いた演技ながら、重厚さもあり中々の好演だったのではなかっただろうか。あえて注文を出すとすれば、ここでは悪役であるスペインやポルトガルの人間のもっと憎たらしいようなエピソードや、自業自得振りな結末でも持たせておけば、物語の落としどころとしてはスッキリしたんじゃないだろうか。なかなかうまいラストシーンではあるけれど、最後までどんよりした印象がついてまわる作品だけに、ちょっと大人向けだといえる作品だろう。いい作品だけどちょっとオイラにはまだ早い気がした。(2007年9月16日)Copyright勝手気ままに映画レビュー 2007 All Right Reserved.