「マグノリアの花たち」
(1989年 アメリカ 116分)(あらすじ)
アメリカ南部ルイジアナ州の小さな町。イーテントン家の人々はしっかり者の母親マリンを中心にシェルビーの結婚式の準備でおおわらわ。そして今日も、陽気なトルービィの美容院は町の社交場となり、女たちがおしゃべりに花を咲かせていた。ところが突然、シェルビーが発作に襲われる。彼女は難病を抱え、結婚しても子供を産んではいけない身体だった‥‥。(レビュー)
1989年に製作されたこの作品、タイトルのマグノリアとは木蓮の花の一種でルイジアナの州花らしく、この辺からタイトルは来ているらしいことが分かる。まず出演者についてであるが、サリー・フィールド 、ドリー・パートン 、シャーリー・マクレーン 、ダリル・ハンナ 、オリンピア・デュカキス 、ジュリア・ロバーツ。この6人が中心となってこの話は進むのではあるが、なんとジュリア・ロバーツのクレジットは6番目である。この頃デビューして間もないから仕方ないとも言えるかもしれないが、主役の娘で物語のキーとなるはずの役なのに、エンドロールでやけに下のほうにあるなと感じたら、出演者を調べてみて納得である。なんとこのジュリア・ロバーツを除く5人のうち3人がすでにアカデミー賞受賞歴アリなのである。アカデミー賞女優3人が共演て、なんちゅうキャスティングだろうか!もうこの時点で驚きの映画である。母親役で主役のサリー・フィールドやその友人の面々も、どっかで見たことあるもののいい演技するなぁて思ってたら、そりゃ当たり前で、こりゃまた失礼しましたである。自分の無知ぶりがちょっと恥ずかしかった。ジュリア・ロバーツもこの作品でゴールデングローブ賞の助演女優賞を受賞し、のちに「エリン・ブロコビッチ」でアカデミー賞を受賞するわけだし、監督というかキャスティングの力には恐れ入るばかりである。さて内容であるが、序盤は女性が集まってピーチクパークしゃべってて、出てくる男性はさえない男や拳銃をぶっ放したり、アホなことばっかりやってる。ああ、これは男性のダメっぷりと女性の強さをテーマにしたアメリカンホームコメディなのかなと、最初はちょっとハズレを引いてきてしまったかなとい印象を受けた。ところがどっこいである。序盤のホームコメディチックなシーンから一転、結婚する娘のシェルビーがどうやら糖尿病を患っているのが分かり、シリアスとは行かないまでも何となく物語りに影が付きまとい始める。この辺のホームコメディからシリアスなドラマへのシフトが自然でよかった。また、ジュリア・ロバーツの周りの5人の演技が抜群なのである。彼女自身の演技は若さがあってどこか今に比べて荒さが見られるものの、特に娘を心配する母親のサリー・フィールドと憎まれ口を叩くシャーリー・マクレーンがすばらしい。さすがアカデミー経験者である。個性的なキャラクターを、出すぎずバランスをとりながら演じきっている。ちょっと退屈だった序盤のおしゃべりもキャラクターの色分けとラストへ向けての前フリだと考えれば、見終わった後には納得である。後半と対比として考えてみれば、あの辺のシーンがやっぱり効いていたのだろう。またセリフや言い回しで笑いを獲りながら、決してコメディに成り下がってはいところも絶妙である。確かに女性の強さと絆をテーマに描かれているものの、時にはいがみ合ったり憎まれ口をたたきながらも、同じ事で泣いたり笑ったりする。田舎町の女性の友情を描いたすばらしいドラマである。きっと見終わった後にはすがすがしい余韻に浸れる作品だし、ぜひとも女性に勧めたい作品だ。最近家庭内でのことでなんとなく疲れている主婦にはピッタリで、見終わった後には元気が沸いてくることは間違いないだろう。やっぱり原題のスチール・マグノリアどおり、女性は強しである。(2007年9月10日)
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