「 I am Sam アイ・アム・サム 」
(2001年 アメリカ 133分)(あらすじ)
知的障害のために7歳の知能しか持たない父親サムは、スターバックスで働きながら一人で愛娘ルーシーを育てていた。母親はルーシーを生むとすぐに姿を消してしまったが、二人は理解ある人々に囲まれ幸せに暮らしている。しかし、ルーシーが7歳になる頃にはその知能は父親を超えようとしていた。そんなある日、サムは家庭訪問に来たソーシャルワーカーによって養育能力なしと判断され、ルーシーを奪われてしまう。どうしてもルーシーを取り戻したいサムは、敏腕で知られる女性弁護士リタのもとを訪ねるが、サムにリタを雇うお金などあるわけもなくあっさり断られてしまう……。
(レビュー)
今やその独特の愛らしさで世界中の大人(おっさん?)を虜(とりこ)にしてやまない、子役ナンバーワンであるダコタ・ファニングが脚光を浴び出世作となった作品。共演は「デッドマン・ウォーキング」や「ミスティック・リバー」での好演も記憶に新しいアカデミー賞俳優ショーン・ペンであり、あらすじを読めばもうお涙頂戴間違いなしの鉄板作品、だというのが見る前の印象だった・・・。
まずこの頃のダコタちゃんもやっぱりカワイイ。これは万人も認めるところだろう。ショーン・ペンもこういう役をやらしてもさすがで、安定感たっぷりである。しかしながら、序盤からご都合主義な展開にオイラはイマイチ物語に入っていけなかった。いきなり病院に行って子供が生まれて、母親がばっくれる。まずここで知的障害のあるサムだけに、ルーシーは本当に血の繋がった子供なの?という疑問が生まれる。ココは物語の根幹であるだけにはっきりとさせてもらいたかった所だ。そしてその展開のまま、生まれたばかりの赤ん坊を連れて育てるわけだが、隣人の外出恐怖症の女性の手助けがあったにしてもここはさすがに無理がある。なんでコーヒーもろくに入れられない男性が子供を6歳になるまで育てられるわけ?どう考えても設定面のミスだろう。ここはサムの親や兄弟でも登場させて多少なりとも物語りにリアリティを持たせるべきだった。
まぁ、そういった序盤の都合のいい展開に目をつぶるにしても、この後の展開と設定に監督の狙いというかわざとらしさが見え隠れしいやらしい。そしてこういうハンディキャッパーをネタに持ってきて、ハッキリと泣かそうという気が満々なのも鼻につくし、登場人物に悪人がいないのもメリハリが感じられなく物足りない。このあたり脚本の弱さなのだろうか。展開に関しても、どうにもこうにもベタが効きすぎているのである。友達が集まっての定期的な鑑賞会や映画ネタ、のちのち効いてくるだろうなぁと思ってたらヤッパリなのである。そしてビートルズの曲やそのサイドストーリーを物語りに絡めたのはハッキリ言って大失敗だっただろう。実はオイラ、結構これでもコアなビートルズファンなわけであるが、正直BGMがうるさい。ビートルズのトリビュート映画じゃないんだから、ファンとしてもここはもうちょっと自重してほしかった。そして所々入ってくるビートルズのエピソードはいいとしても、女弁護士の名前がリタはないだろう。まぁヨーコやリンタにしなかったのは多少マシなところではあるが、いかにも直球すぎないか?せめてミドルネームやニックネームをリタにすべきだっただろう。終盤のジョージなんかのエピソードはリタが登場した時点でハッキリと見えてしまった。またまたヤッパリそう来たかなのである。
とにかくこの作品。素直に楽しめるかどうかはいかにビートルズをスルーできるかである。邦画ファンや邦楽ファンなら十分楽しめるだろうけど、コアなビートルズファンにはオススメしない。展開やセリフがイチイチひかかってしまうようでは退屈な2時間超だった。あのラストも少々きれい過ぎて不満である。(2007年10月7日)
(嫁2行レビュー)
出足は順調だったんですが・・・途中から冷めてきました(;´▽`A``
私には主人公サムの魅力がそんなに伝わってこなかったです